京都の中小企業、訪日客に照準 需要掘り起こし工夫上海賃貸住宅アパマンショップベターハウス
京都のITやメーカーなどの中小企業が、海外からの観光客を狙ったインバウンド(訪日外国人)ビジネスに相次ぎ参入している。それぞれの技術的な強みや人材を生かし、個性的な商品やサービスを提供している。
京都市内の中小IT企業6社でつくる事業グループ「京なかGOZAN」は、インターネットで注文を受け付けた土産品を提携先のホテルに24時間以内に届けるサービスを今月始めた。滞在中に土産品店を巡る時間がない外国人観光客の需要を掘り起こす。
英語と中国語に対応したスマートフォン向けのカタログサイトを開発した。注文が入った商品を製造卸業者から集め、別の業者に配達を依頼する。
現在、京都市内の4ホテルと提携している。今後、京都産の雑貨や衣類、化粧品などを対象に品ぞろえを拡充し、提携先のホテルを増やす方針。外国人からの受注データを分析し、情報として提供するサービスも検討している。
研修旅行誘致に乗り出したのは、伸銅機械メーカー、生田産機工業(伏見区)の子会社京ウィンド(同)。京都市の京都国際観光大使を務める中国出身の喬彬(キョウヒン)さん(33)を採用し、昨春以降、中国の学生約600人と企業経営者ら60人を京都に案内した。日本の伝統文化や企業経営を学ぶツアーで、すしの握り方や日本舞踊なども指導している。学生の料金は1人30万円超。喬さんは「中国では修学旅行の概念がないため、研修を兼ねた観光の需要は大きい。日本への留学や就職を考えるきっかけにもなる」と効果に期待する。
農山村の生活体験ツアーを手掛けるベンチャー企業も現れた。東京から右京区の京北地域に移住した通訳案内士の中山慶さん(32)は2年前から訪日外国人向けの農家民泊ツアーを提供している。
利用者はかやぶきの民家で過ごし、住民と一緒に農作業や料理を楽しむことができる。インターネットやチラシでPRし、春と秋は連日予約が入る盛況ぶりだ。これまで欧米やアジア、中東などから500人以上を受け入れたという。
2020年東京五輪に向けて訪日外国人はさらに増える見通しで、インバウンドビジネスは今後も一段と熱を帯びそうだ。