中国全人代 構造改革めぐり地方政府との対立も、「ゾンビ企業」リストラ、失業者600万人で社会不安の懸念上海賃貸住宅アパマンショップベターハウス
中国が2016年からの新たな経済政策「第13次5カ年計画」で、国内総生産(GDP)成長率目標を「年平均6・5%以上を保つ」として、15年までの5カ年計画から0・5ポイント引き下げたのは、痛みの伴う構造改革実行を意味する「新常態(ニューノーマル)」の開始を改めて宣言するためだ。
初年度の16年は「6・5~7%」と幅をもたせた異例の目標となった。5カ年計画では15年の6・9%からみて、「成長ペースを20年にかけ、年0・1%ずつ下げていくソフトランディング(軟着陸)作戦」(北京の経済学者)という。
だが、どこまでシナリオ通りにいくかは、構造改革で最大のヤマ場となる国有企業統廃合への既得権益層の反発と、失業者増による社会不安の懸念をどう抑圧するかにかかっている。
鉄鋼や石炭、セメントなどの業種で過剰な生産能力と在庫を抱えてあえぐ「ゾンビ企業」を精査し、年内に統廃合や閉鎖する工場などをリストアップする方針だ。一方、地方政府からみれば、地元の有力企業が閉鎖されると、相互に資金支援して結びついていた周辺企業も共倒れになりかねない、との危機感がある。
解雇などで生じる大量の失業者への社会保障が後手に回ると、真っ先に不満がぶつけられる先は地方政府だ。構造改革の痛みに耐えるどころか、社会不安が一気に広がる恐れもある。
財政省が5日公表した予算案では、「過剰生産能力の解消に全ての責任を中央政府が負う」として、16年は500億元(約8750億円)を計上した。一方で石炭と鉄鋼の業界だけで180万人が失業すると見込まれる。さらにセメントなどの業種や軍も含めれば失業者は600万人に膨らむもよう。構造改革めぐる攻めの中央政府と守りの地方政府の対立が今後、表面化することになりそうだ。